【FPが解説】子育て世代の家族が安心できる生命保険の選び方

お子さまがいる家庭では、教育資金づくりや子育て期間に万一があった時の養育費の保障など、家族のために備えることがたくさんあります。

死亡保険金はいくらくらい必要なのか、どんなタイプの保険で備えるべきなのか、家族が安心できる生命保険を選ぶポイントを解説していきます。

子育て世代の保険をデータで確認しよう

家族のために保険に入るといっても、死亡保障や保険料はどれくらいの金額が相場なのか、イメージしづらい方も多いはず。
まずは参考として、生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」の平均データを確認していきましょう。

子育て世帯が支払っている保険料の平均はいくら?

「子どもがいるので、保障がしっかりした保険に加入したい」と思っていても、保障がとても手厚い保険はそれだけ保険料も高くなります。高すぎる保険料が家計を圧迫して、教育資金を準備できなかった…となれば元も子もありません。

世帯の経済状況や子どもの年齢によって保険の選び方は変わり、支払う保険料にも差があります。

下記が子どもの年齢に応じた保険料の年間支払額の平均です。

<末子が未就学児の家族の年間平均>
夫:248,000円
妻:138,000円

<末子が小学生の家族の年間平均>
夫:245,000円
妻:154,000円

<末子が中学生・高校生の家族の年間平均>
夫:268,000円
妻:157,000円

<末子が短大・大学・大学院生の家族の年間平均>
夫:272,000円
妻:212,000円

子育て世帯の死亡保険金額の平均はどれくらい?

データを見ると、妻よりも夫の方が死亡保障額が高いことが分かります。
子どもが全員学生を卒業した家族では、夫の保険金額が1,000万円以上も下がっているため、養育期間は保障を手厚くしていることが見て取れますね。

<末子が未就学児の家族の平均>
夫:24,860,000円
妻:9,150,000円

<末子が小学生の家族の平均>
夫:26,780,000円
妻:8,740,000円

<末子が中学生・高校生の家族の平均>
夫:24,830,000円
妻:9,100,000円

<末子が短大・大学・大学院生の家族の平均>
夫:25,190,000円
妻:7,980,000円

<子どもがすべて卒業した家族の平均>
夫:10,670,000円
妻:6,460,000円

データは参考程度にしよう

上記で紹介したデータは、平均の数字でしかありません。経済状況や子どもの人数・年齢、教育方針などは家庭によって多種多様であるように、必要な保障額も家庭によって異なります。
合っている保険商品もそれぞれ違うので、保険料も一概に「この額がちょうどよい!」という指標はありません。

データを鵜吞みにして「これくらいの保障・保険料でいいか」という選び方はおすすめしません。データを一つの目安として参考程度に考え、家族に合った保険を選ぶことが最も大切です。

家族が安心できる生命保険の選び方4ステップ

ステップ1:遺族にいくら残す必要があるか話し合う

まずは、万が一のことがあった時に遺族にいくらお金が必要かを割り出しましょう。

これは家族の人生に大きく影響することなので、配偶者がいる方が独断で決めることは絶対にNGです。万が一があったときに遺族になり、実際に残されたお金や保険金を使うのは配偶者です。人生のパートナーである配偶者としっかり話し合いましょう。

一番おすすめの方法は「夫(妻)が亡くなったら、残された家族は天国から月々いくらお金が届けば困らずに生活できるか?」という問いに夫婦お互いに答えることです。
その際、死後に減る支出(住宅ローンの支払いや生活費)も加味しておきましょう。

ステップ2:死後の遺族の収入を計算

遺族にとって必要な金額が分かったら、次のステップでは死後の遺族の収入を計算しましょう。配偶者の労働所得/不労所得のほか、遺族年金がいくら入るのかも把握しておく必要があります。

遺族年金は、会社員か自営業者か、死亡するのが夫か妻か、子ども※の人数、会社員なら生前の収入によっても金額が変わります。

例えば会社員で平均報酬月額が35万円の夫が死亡した場合、子ども※が2人いる妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金の合計で月額約14.9万円を受け取ることができます。

遺族年金については日本年金機構のホームページを参考に自分で計算してみるほか、FPに相談するのもおすすめです。

※子ども:18歳到達年度の末日までの子ども、または20歳未満で1級・2級の障害状態にある子どものこと

ステップ3:保険で備えるべき金額を割り出す

(ステップ1で割り出した遺族に必要な資金)-(ステップ2で計算した遺族の収入)=保険で備えるべき金額になります。

ポイントとしては「一括で〇千万円の死亡保障」といった形で大きな額で計算するよりも、「月々〇万円×〇年間の死亡保障」と計算したほうがイメージしやすいのでおすすめです。

ステップ4:掛け捨て/貯蓄型どちらの保険で備えるか決める

保険で備えるべき必要保障額が分かったら、どんな保険で備えるべきかを考えましょう。

死亡保障には、掛け捨ての保険のほか、同時に貯蓄も可能な終身保険があります。
掛け捨ての保険は終身保険に比べて保険料が抑えられる特徴があるのに対し、終身保険は保障を持ちながら教育資金や老後資金を同時に貯めることができます。

必要保障額に合わせて、掛け捨ての収入保障保険と貯蓄型の終身保険を組み合わせるとよいでしょう。

また、掛け捨ての保険には定期保険や収入保障保険などの種類があり、お金が貯まる終身保険にも円建てやドル建てなど様々な特徴を持った商品があります。それぞれの保険の特徴をしっかり理解して、どの保険で備えるか決めることが大切です。

FPに相談すると安心

ひとことに保険といっても、必要な保障額や無理のない保険料の額は家庭によって異なります。家族が安心できる保険を選ぶために、保険やライフプランのプロであるFPに相談することも選択肢に入れましょう。