遺族のための死亡保険はどのように考えるべき?

死亡保険(生命保険)とは、被保険者が死亡したときに保険金が支払われる保険のことです。

「家族にいくら残すべきだろう・・・」と考えてはみるものの、寿命の長期化もあり必要な保障額はピンとこない方もいるのではないでしょうか。

遺族のための死亡保障の考え方を、FPが解説していきます。

死亡保険は遺族のための保障

死亡保険は、被保険者が死亡したとき(または高度障害になったとき)に保険金が支払われるもの。被保険者本人が保険金を受け取るわけではありません。

死亡保険金を受け取るのは、被保険者が亡くなって遺された遺族 です。

経済的に支えている家族がいる場合、死亡保険を自分自身だけで検討して保障を決めるのはおすすめできません。遺族として保険金を受け取る配偶者などの家族と話し合うことが大切です。

死亡保障の考え方は?

独身の場合

独身で子どもがおらず、仕送りで生活している親などもいない場合には、葬儀代程度を用意しておけばよいでしょう。

一般的な葬儀費用の目安は150万円程度です。家族葬など、小規模な葬儀を望む場合は100万円程度あれば十分です。
この程度の金額なら、銀行預金などの貯金で準備することができる場合も多いですね。

別居する子どもなどがいる場合は、養育費や相続対策として保険に入っておくのが賢明です。後述の「子どもがいる場合」で解説 します。

夫婦(子どもなし)の場合

子どもがいない夫婦の場合、まずはどちらか一方が亡くなった時にのこされた方は経済的に困ってしまうかどうかを考えましょう。

夫婦どちらに万が一があったとしてもお互いが経済的には困らない場合は、保険で保障を準備する必要はありません。

反対に、夫婦どちらかが無くなったときに相手が経済的に困窮してしまうことが想定される場合は、保障をしっかりと準備しておく必要があります。

また、子どもがいない夫婦は、子どものいる夫婦に比べて遺族年金が少額になるか、支給されないケースもあります。
例えば、厚生年金被保険者の夫(平均標準報酬月額:35万円)が30歳の妻をのこして亡くなった場合、月約4.6万円の遺族年金となるります。この例で、夫が自営業者だった場合は遺族年金は支給されません。

中高年の専業主婦(夫)など、のこされた遺族がそれ以降の生活資金を自助努力でまかなうことが難しい場合は、必要な生活資金を保障額として死亡保障を検討しましょう。

子どもがいる場合

子どもがいる場合は、のこされた子どもの学費や生活費などの養育資金がかさむため、しっかり保障を準備しておく必要があります。

私立小学校や私立中学校などのお受験志向があるかどうか、大学まで学費が必要かどうか、まずは教育方針をおさらいしましょう。その上で、子どもが独立するまでの間に必要となる教育資金を割り出し、追加で遺族が生活していくのに必要な生活費を計算します。

この際、住宅ローンの団体信用生命保険に入っている場合はローンの返済が免除になることを考慮してください。

教育資金と遺族の生活費が割り出せたら、ここから遺族年金の額を引くと死亡保険で準備するべき保障額となります。

ちなみに、遺族年金は子どもの人数や生前の報酬額によって金額が変わります。遺族年金は公的な遺族への保障制度なので、日本年金機構のホームページを見たり、FPに相談したりして正確な数字を知っておくのが大切です。

死亡保険の種類

定期保険

保障期間が決まっている保険のことを定期保険といいます。
定期保険の死亡保険では、〇歳までに亡くなったら△△万円の保険金が受け取れる、という形で保障されます。

決まった年齢までに無事何ごともなければ保障が切れる掛け捨ての保険で、終身保険に比べると保険料が安価なのが特徴です。

収入保障保険

定期保険の一種ですが、年齢が上がっていくごとに保障額が下がっていくのが特徴です。
〇歳までに亡くなったら月△万円の保険金が保障期間終了まで毎月受け取れる、という形で保障されるます。

終身保険や、保障額が保障期間中は一貫して変わらないタイプの定期保険よりも、月々の保険料が抑えられるコスパのよい保険といえるでしょう。
掛け捨ての保険で死亡保障を準備するのであれば、この収入保障保険がおすすめです。

終身保険

終身保険は、掛け捨ての保険とは異なり貯蓄性があるのが特徴です。

中には、運用性がある利回りのよい商品もあります。

保障が必要な期間はしっかりと保障を持ちつつ、一方で教育資金や老後資金も貯めてふやせるという利点があります。

必要保障額をすべて終身保険でまかなうには保険料が高額になるため、収入保障保険などと合わせて加入するケースも多いです。

遺族のための保障はFPに相談しよう

死亡保険は、遺族のために準備する保障です。

「よく分からないけどこれくらいでいいか・・・」と曖昧に加入してしまうと、万が一の際にのこされた遺族が経済的に苦しむことにつながる可能性もあります。

大切な保障だからこそ、プロのFPに相談して家族全員が安心できる対策をしておきましょう!